15~6年前、IT土方をやっていたわたくしは、毎月100時間近くの残業でナチュラルハイな日々を過ごしていました。夜間休日もシフト制でトラブルシュート業務を命じられ、会社携帯を24時間肌身離さず持ち歩き、いざコールがあれば飲み会中でも、通勤中でも、トイレにいても、お風呂入ってても、寝てても、にゃんにゃん中でも、即応答がマスト。急いでパソコンを開きお客様の機器にリモートアクセスして調査、トラブルを解決しないと解放されない罰ゲームを開始する!みたいな、過酷な仕事をしておりました。
電話が来なければただの休日なのですが、いざ電話がきたら内容次第で1日つぶれる、時間によっては朝まで徹夜コース、なんてこともありえます。ですので、ちょっと買い物行くのも携帯持ってダッシュ、外食も近場で携帯鳴ってくれるなよ、と睨みつつ祈りつつしながら食べてたものでした。
そんなわけで、休日はどこにも出かけられず、せめて外の空気を!とベランダで外を眺めてたんです。
そしたら、ん?なんだあの変な鳥は?
青くて頭が黒くて、尾っぽが長い。なかなか綺麗なんだけど、ガーガー声はうるさい。
ググってみると、オナガという鳥らしい。

ほうほう、”鳥”と言っても雀と燕とハトとカラスくらいしか脳内にストックがなかったので、世の中ひろいなぁと、なんというかとても新鮮な発見をした心もちをよく覚えてます。
そして、ここから、ぼくはバードウォッチャーLv1として歩みを始めたのでした。
一度、鳥にはいろんな種類があると理解したとたん、いろいろな鳥が目に付くようになり、じっと目を凝らすと、あれ雀じゃないな、ハトじゃないな、なんだろう?となるんです。カラーバス効果っていうらしいですね、急に意識するようになって、通勤時の駅まで10分でもいろいろな鳥がいることに気づきます。
最初はスズメとは違うことしかわからないので、鳥図鑑を買って眺めながら、少しづつ特定していくのですが、これが楽しい。視覚情報だけでは判断できないことが多く、その鳥の生息する地域、季節、鳴き声、こういったものを総合して最終判断する場合もあれば、声だけで特定できちゃったりするときもあったりします(ウグイスなんかがその例)。
そんなわけで、いまだLv5くらいの自分ではありますが、バードウォッチングの魅力を5つほど、語らせていただきましょう。
その1 心が豊かになる感覚を知る
「それってあなたの感想ですよね。」って息子に言われちゃいました。小3にはわからんかもしれないけどよ、心の豊かさとは何か、これを実感できるのがバードウォッチングの醍醐味ってもんなんよ。
頑張って説明してみましょうか。
個人的にバードウォッチングの条件は、野鳥を見る、です。自然に生きる鳥を見ることがバードウォッチングであり、動物園など人に飼われた鳥は対象外です。(対象外とはいえ、上野公園などでは都心でも見られる鳥が見られて、とても参考になります。ウォッチカウントできなくてもとってもおススメ。)
自然の中で生きる鳥たち、どこにいるか、いつ出てくるのか、何も予定も保証もありません。
LINEで連絡もできないので待ち合わせもできませんね。
なので、バードウォッチャーは鳥との出会いを求め、出かけて行きます。公園、山、川、街の中、たとえ火の中、水の中、そしてふと出会うんです。
あ、シジュウカラ! あれはコゲラ!? あのちっこいのはエナガじゃん?
ん、なんだろあの鳥は?
一期一会。この広い地球のいまこの場所、この瞬間。何の因果かぼくらは出会う、お互いを知らず、今この一瞬時と場所を重ね、そしてまた離れていく。
この一瞬の自然との邂逅、これこそがバードウォッチングです。
あのネクタイ模様、間違いなくシジュウカラ! Getだぜ!
*実際は捕まえません、見た=Getです
こうして心の野鳥リストにウォッチカウントとしてストックされます。野鳥リストがひとつ埋まると、ひとつ野鳥との出会いが心に刻まれる。新しい野鳥と出会うたびにリストは埋まっていく、心が豊かになっていくのです。
通じるかぁ、これ。自信ないね。言語化難しい。
けどね、この未知との遭遇、突然の出会い。そして、その鳥が何か特定できたとき、言葉にできない満足感があるんです。野鳥との出会いは自然との出会い。めぐりあいソラ、です。
そして、偶然に思えるその出会いには、その野鳥がいる理由・背景があります。ツグミやジョウビタキを見ると、冬が来ていることを感じます。燕がいたら春から夏、でしょうか。燕をみると幸福な王子を思い出して泣いちゃう人もいるかもね。
野鳥を通して自然を感じ、今ここにいる喜びを知る。豊かな心を培う術の一つ、であります。
その2 お金がかからない
バードウォッチングは鳥を見ただけで満足。捕まえる必要はない、というか野鳥を捕まえたら自分が捕まっちゃいます。
鳥獣保護管理法に違反して野生の鳥獣を捕獲した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
双眼鏡があればより見やすいですが、とりあえず初めて見るなら、通勤通学のわずか10分足らずでも楽しめちゃいますので、金銭的にとても敷居が低いと声を大にしてお伝えしたいです。
あった方がいいかなと思うものは、下記です。
- 双眼鏡
- 鳥図鑑
- 鳴き声特定用アプリ
その3 健康に良し
ファミッ子でいつも家にいる僕でも、野鳥を見るようになってから、ゲームを捨てて、街へ出よう!となり、よく歩くようになりました。(仕事が許せば。)
最初は池のある広い公園や川沿いがおすすめです。
都内だと上野公園、井の頭公園、葛西臨海公園、明治神宮あたり複数鳥が見られた記憶です。
水場があること、多すぎない程度に人がいるところに野鳥は現れやすいです。人がそこそこいると小鳥たちを襲う猛禽類がやって来ず、安心してチュンチュンできるから。スズメが人里に住む、ツバメが玄関やパーキングのトイレに巣を作る理由ですね。
で、基本歩いてなんぼ、鳥を求めて歩いていたら1万歩はあっという間なので健康にとても良しです。
その4 普段の生活の中でいつでも楽しめる
趣味のために時間を作る必要はございません。
通勤通学の歩き道、ちょっと耳を澄ますと鳥の声が聞こえてくる。
家で家事をしていると、なんか鳴いてるぞと窓の外を見れば鳥が電線に止まってる。
買い物でも同様、なんかしら用事で外を歩けばそこはもうバードウォッチングのフィールド。
仕事でちょっと違う駅に行く、これも新たな出会いの予感です。
出張なんかきたら場合によってはボーナスステージの可能性!
気軽に始められそう、そんな感じにご理解いただけたらこれ幸いです。
そうそう、日曜朝7:45からNHKでやってるさわやか自然百景も、よく鳥が映ことが多いです。これを流しながらストレッチするのはいい朝の始まりになりますよ。
その5 人生の目標になりえる
日本で観察できる野鳥の数は500を超えるそうです。
すべてをコンプリートする!なんて目標立てちゃった先には、日本中を回る時間、財力、体力、ガッツ、そして何より運を味方にしないと達成できない険しい道のりです。とても大きな目標になりますね。
僕はそこまでの情熱はありませんが、とはいえ、野生のアカショウビンは見てみたい、というのはあります。ポケモンマスターにならなくちゃ!とは思わないけど、カビゴンは欲しいみたいな。街でポケモンバトル仕掛けてくるおじさんのポジションですね。
あー、でも野生のヤマセミも見たいな、けっこうでかいんですよ鳥なのに。コマドリの歌ってるところも見たいし、ルリビタキの美しさもまだ未見でした。。いずれはメグロを見るために小笠原諸島行くぞ、と思ってたっけ。。。あらあら、なんか過去の欲望がむくむくと思い出されてきましたよ。
ちょっと興味が出てきた!けど、、
かならず見られる保証はないし、行ってみたけど見つからないじゃ、ちょっと腰が上がらないなぁ。
なんて方には探鳥会をオススメします。鳥をみんなで見ようという催しを野鳥の会などが定期的にやってます。

こういうのに参加すると、先人が親切に教えてくれます。すぐに鳥を見つけて双眼鏡を貸してみせてくれるので、まず鳥が見られない、なんてことはないです。彼らの眼力はとても鍛えられており、鳥を特定する能力も非常に高いです。
子ども連れて再開したいところだけど、パパひとりで行ってくれば、って言われそうだなあ。。
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